石上神宮フォトログ 山の辺の杜から
2018.06.20
祓とはつつしみの義なり
テーマ:境内

 

お祓(おはらえ)を行う所は祓所(はらえど・祓戸とも)と言い、心身を清める祓をつかさどる神様は四神で、瀬織津比売(せおりつひめ)・速

開都比売(はやあきつひめ)・気吹戸主(いぶきどぬし)・速佐須良比売(はやさすらひめ)とされています。

祭典の前には必ず修祓(しゅばつ)を行うことになっていて、『神道名目類聚抄』の「祓」の項に「祓とは、つつしみの義なり。邪念発(お

こ)れば是を除(のぞき)、あやまりてはすなわち改(あらため)、不浄をさる。日用平生(にちゆようへいせい)かくの如くして、心神常に清浄

正明(しょうじょうせいめい)ならしむ、是を祓という。」とあります。

つまり不浄を清浄に、不完全を完全に、不良を善良にし、更に災いを除き幸福を平和をもたらすことを目的としています。

この祓をつかさどる神様を祀る祓戸神社は禊場(みそぎじょう)に鎮座しているため普段は入ることは禁止されています。

一年に一度の例祭が行われる23日に限り特別に許可されています。

清浄な森の中に鎮座しているので、心してお進み下さい。但し雨天の場合は別の所からの奉仕となります。

2018.06.18
氷室の節句(ひむろのせっく)
テーマ:境内

 

蒸し暑いこの頃は冷たいものが欲しい時でもあります。

古代の人も夏には冷たいものが大好物であったようで、珍重していた様子を伺い知ることができます。

『日本書紀』の仁徳天皇62年条に、氷室(ひむろ)と言って地面を掘って茅(かや)などを敷いた上に氷を置いて草で覆い、暑くなった頃に

水酒にひたして使うとあります。

『枕草子』にも「あて(貴重・上品)なるもの」として、かき氷に甘葛を入れて、いただいたことが記されています。

平安初期の『延喜式』には、朝廷へ氷室から氷を献上する規定があって、4月~9月(夏から秋)の間は毎日運ばれていたことがわかりま

す。

江戸時代には氷室の節句と称し、陰暦6月1日に宮中では臣下が氷室の氷を賜り、それにならって民間では保存して置いたお正月の鏡餅を

氷餅と称していただいていました。

こんなことを書いていると御中(おなか・腹)のむしが騒ぎだして、今夜は氷餅ならぬ氷酒を頂戴したいと思います。

2018.06.15
苔の生すまで
テーマ:境内

 

梅雨の雨をうけて、苔が青々と生育していて、趣深いものがあり、これを苔茂ると言い、夏の季題となっています。

日本にはおおよそ2千種あると言われていて、『古事記』にも木毛(こけ)、蘿(こけ)の表記があり、八俣遠呂智(やまたのおろち)の体には

蘿や檜(ひのき)、椙(すぎ)が生えていたと記されています。

『万葉集』には12首に出ていて、「蘿」が10首、「薜」「苔」が各1首、用いられています。

木や石に苔が生えてくるには相当の年月がかかるので、「苔むす」は長い年月のたつことを意味しています。

古今集に「よみ人しらず」として、「わが君は千世に八千世にさざれ石の巌(いわお)となりて苔むすまで」とあり、わが君はいついつまで

も永遠に、小さな石が大きな石となり、更に長年月を経て、その岩に苔が生えるまで、この先長くお元気でいらっしゃるようにとの祝福を

詠んでいます。

よみ人知らずとあって、内容より紀貫之の生まれる前より広く一般に歌われていたのかも知れません。

2018.06.13
嘴(はし)で教える
テーマ:境内

 

卵からかえったヒナは、ツバメなどのように親鳥から口移しに餌をもらって大きくなるが、どうもこれが一般的ではないらしく、野鳥は早

いものでは2日ほどで巣立ちをするという。

スズメは晩成で長く親といるらしい。

鳥の専門家ではないので正確ではないかも知れないけれど、よく見ていると神宮のニワトリは生まれたばかりのヒナに餌のありかを嘴(く

ちばし)で教えているように見え、ヒナはしっかりと親の口元を見て餌をつついて食べている。

これもやがて学習して、親の教え導くことなく餌を自由に自分で探して啄(ついば)み、程なく親にまとわり付くことなく単独で行動する。

ヒナによっては単独行動に移る時間に個体差があり、いつまでも親につきまとっているヒナを見ていると妙にいじらしくなり、親心が呼び

覚まされて、思わず心の中でガンバレと叫ぶ自分に、まんざら悪人ではないことに少々安堵する次第。

2018.06.10
賢木(さかき)の花
テーマ:境内

 

境内には場所がらからか、多くの榊(さかき)があって、いま黄白色の花を咲かせています。

いつの時代から日本に生育しているのか詳しくは知りませんが、『万葉集』にすでに詠まれていて、大伴坂上郎女の長歌(3-379)に

「・・・さかきの枝にしらかつけ、木綿(ゆふ)取りつけて・・・」とあり、表記は「賢木」と記されています。

『古事記』『日本書紀』にも天の岩屋戸の所に「真賢木」「真坂樹」とあり、栄える木、境の木の意で用いられ、清浄を示し、神様に供せ

られたりするので、国字として榊となっています。

但し、関東以北には自生が難しく、同じツバキ科のヒサカキやモクレン科のオガタマノキが用いられています。

どうも花には虫を引き寄せる香気と蜜らしいものがあるらしく、ハチが乱飛していて、少々注意が必要です。