石上神宮フォトログ 山の辺の杜から
2017.09.29
月草のうつろい易く
テーマ:境内

 

今、山の辺の道沿いの野原には、いよいよ色増した露草が目立っています。

日中はともかく、明け初めの気温が下がってくると共に露草の藍色がますます濃くなっています。

随分と古くからあると見えて、『万葉集』には月草、鴨頭草の表記で九首も詠まれています。

この時代から花の青汁を採って染料に用いられており、ツキクサの名は臼(うす)でつく、ついたところからの命名とか。

染めの世界ではこの花の絞り汁を紙に染め、下絵を描く時に用いる青花紙として知られています。

色がすぐに落ちる、脱色するので、「うつる」「け(消)ぬ」などにかかり、これに関わって六首が、早朝に咲いて昼には閉じてしまうの

で、命の短いことになぞらえて三首が載せられています。

どれも移ろい易い恋心を詠ったと言えば聞こえは良いのですが、男女の恋・私的交情・相聞の類で、早い話が失恋の恨み節となっていま

す。

「月草も うつろい易く 思へかも わが念(ふ)も人の 言も告げ来(こ)ぬ」(巻4・583番)

「あなたは私のことを心の変わりやすい女と思っていらっしゃるのでしょうね。その証拠に手紙の一つもよこして下さらない。恨んでいま

す。」少々の意訳ですが、こんな感じが多いようです。心変わりは後後よくありませんよ。