石上神宮フォトログ 山の辺の杜から
2018.05.29
母性愛の芽生え
テーマ:境内

 

どういうわけか、鳥たちは十二支を知っているわけもないが、昨年のトリ年を契機に当宮のニワトリの母性愛が断然に目覚めたのか、今ま

で生み落として、温めもしなかった卵を一生懸命に抱きだし、急に子供たちが増え、住む住宅事情が狭隘となってしまいました。

あまり狭いと鳥たちも窮屈さを感じ、ストレスがたまるとかわいそうなので、立派な一軒のお家の建設を計画し、この程楽しい我が家が完

成ました。トリ君たちはいち早く新居に入り、その様子をよく見ていると、鳥にもいろいろのタイプがあるみたいで、休む時は止まり木派

と地べた派があるみたいで、心配をよそに棲み分けがしっかりとできていました。

早速にお気に入りの止まり木で元気に鳴いています。めでたし。

2018.05.26
蕺草(どくだみ)の花たち匂う
テーマ:境内

 

いま半日陰のやや水気のある所に、ドクダミの白い花がいくつも清楚に咲いています。

美しい花を咲かせているのに、ドクダミとは可哀相な名前で、他にも気の毒な草名は夏に花をつけるヘクソカズラがあり、ドクウツギ、ド

クニンジンなど誰が命名したのか、まさか牧野大先生ではないと思いますが、同情してしまいます。

ドクダミは毒を矯(た)める、止(と)めるの意とされ、確か牧野富太郎先生は名の由来を毒痛みからと説いていたと。

蕺薬(しゅうやく)からじゅうやくと呼ばれ、十薬、重薬の字が当てられ、10種の薬効があるそうです。

本よれば、利尿・解熱・排膿・解毒などの作用があり、はれ物・高血圧・肺結核・感昌・蓄膿症・痔・便秘によく、抗菌性・抗カビ性があ

るそうです。

但しヘクソカズラと同じく、切り取ったりすると毒ではありませんが、独特の好ましからざる匂いがします。確かめたい人はどうぞ。

2018.05.23
そよ吹雪は無名画家
テーマ:境内

 

社務所の向い側には鏡池があって、江戸時代の絵図には「石上池」と記され、相当古い時代からあったものと思われます。

ここには国の絶滅危惧種となる「ワタカ」(奈良県指定天然記念物)という草食を好む魚が生息しています。

この他にもコイ・フナ・ウナギ・亀など山から流れ込む養分豊かな水により、かなりの数の魚たちが生活しています。

残念ながら特別の浄水施設は設けていないので、鏡池と言っても真澄(ますみ)の鏡のようによく澄んでいるわけではありません。「水清け

れば魚棲(す)まず」で魚たちにとってはかえって好都合なのかも知れません。

それでも陽が上がる午前中には新緑の美しい色を水面に映し、その上をそよ風が渡ると、黒と緑色の見事なアブストラクト・アート(抽象

画)を描いて去って行きます。

どれも同じ画はないので、ボーっと見ていると楽しいものがあります。

2018.05.20
竹の秋
テーマ:境内

 

境内は常緑樹、落葉樹をはじめ、林床には草木が生育、竹の林もあって早春には筍(たけのこ)がたくさん生え出てきます。

いよいよ掘り出すぐらいになると、猪がやってきて食すると言う腹の立つことがたびたびあります。

竹の子は漢字の筍が示すように一旬(いちじゅん)、つまり10日で竹になると言われ、地上に顔を出す直前のものが美味とされ、食通の猪

はこの時期のものしか所望しないみたいです。

今頃になるとまだ皮をつけたまま、随分高く成長しています。

やはり相当の栄養を必要とするのか、周りの竹の葉は黄ばんで、中には強風に吹かれて飛び散っています。

これを見立てて、俳句の世界では竹の秋と称し、同じく麦の秋と言うものもあります。

今月の話題は緑ばかりなので、少々へそを曲げて秋を登場させました。

「竹の秋」はすでに江戸時代中期頃の書物に載せられていて、万象新緑となる情景の中で黄ばんで精彩を欠いている竹を見て秋を用いたも

のと思います。

麦秋も江戸中期には出典していて、いつの世も感性鋭く、うまい表現をする御仁(ごじん)はいるものです。

2018.05.17
擬宝珠の刻銘(ぎぼしのこくめい)
テーマ:境内

 

石上神宮の拝殿は社伝によると永保元年(1081)、白河天皇が当神宮に伝える鎮魂祭(ちんこんさい)の斎行の場として、宮中の神嘉殿(し

んかでん)を寄進されたもので、最古の拝殿として国宝に指定されています。

現在までこの建物の保存維持のためにたびたびの修理が行われていて残っている棟札などによって、中世末から江戸時代末にかけては、文

明2年(1470)をはじめとして、安政6年(1859)まで大きく10回行われていたことがわかります。

天保14年(1843)には、拝殿の外側を取り巻く板敷きの縁(えん)の修理のあったことが、擬宝珠(ぎぼし)に残っています。

「天保十四癸卯年九月吉日 布留社」とありその下には「鋳物師 京大佛 井筒屋 武兵衞」と読めます。

のみで鮮やかに刻まれた文字は時代を感じさせない新鮮さがあります。