石上神宮フォトログ 山の辺の杜から
2018.05.15
定家葛の花(ていかかずらのはな)
テーマ:境内

この時期、境内では上方で木にからみついて、5つに分かれプロペラ状の白い花を数多く咲かせ、遠目に見ると白いかたまりに見える正

体は、定家葛の花です。

古くは真拆(柾木)の葛(まさきのかずら)と呼ばれ、神事に多く用いられていて、天鈿女命(あめのうずめのみこと)が天岩戸(あめのいわと)

の前で踊った時、頭髪の飾りにしたのが、まさきのかずらであると言われていて、『万葉集』にも出てきます。

平安時代の歌に盛んに用いられていて、『古今集』巻20、神遊びの歌に「深山にあられ降るらし 外山なるまさきのかづら色づきにけ

り」とあって、秋に葉はツヤのある赤色となります。

花はすごくいい香りがするそうですが、高所にあるのでどのような香りなのか不明。

この花はやがて実になりますが、その形がなんと細長くて20センチ程の丸い箸状で、想像を越えるその形の変身ぶりに妙な感動がありま

す。

これもやがて11月頃にはサヤが裂けて、その中から長い白毛のある種が飛んでいるのを見つけると、かなり変貌した定家さんに三度の妙

な感動が起こります。

2018.05.11
新樹てんこ盛り
テーマ:境内

「夏山は目の薬なるしんじゆかな」季吟(北村季吟・江戸時代初期の俳人)

初夏、若葉の青々としたみずみずしい緑におおわれた木々を「新樹(しんじゅ)」と言い、俳句の世界では季語となっています。

『滑稽雑談』に「新樹は四方の木ずえ青みわたりて、木々の色もみな薄翠(うすみどり)、しげき山下もいとど闇くなりて、月も漏り来ず、

むらさめも音ばかりして、露も落ちぬなどよむべし・・・」とあり、江戸時代前期にはすでに使われていて、新樹と言うわりに決して新し

い語ではありません。

この時期境内は晴れの日も雨でも曇でも、四方八方いたる所、日々新しい緑が生まれいでて、ミドリ競演中、まさしく緑塗り立て、てんこ

盛りとなっています。

2018.05.08
緑滴(したた)る
テーマ:境内

 

早くも奄美・沖縄地方が梅雨入りしたという発表があり、例年より梅雨前線の北上が早いそうで、今年の入梅は全国的に早いらしい。

ここ2、3日はそれを思わせる如く雨が断続的に降っています。

境内の伸びやかで美しいモミジはこの水を得て、なおやさしくやわらかに見えてきて、ミドリの歌を美声で奏でているようです。

秋山は明浄にして、粧(よそお)うが如く、いま時分の山は蒼翠(そうすい)として、滴る如くと言われています。

連日雨となり鮮やかさがあふれるばかり満ち満ちて美しいのが滴るで、当方は別に美しくもなく冷汗で滴るぐらいです。

2018.05.05
社叢(しゃそう)のモリアオガエル
テーマ:境内

 

境内は高さ266メートルの布留山を含めて、甲子園球場の約16倍の広さがあり、「歴史的風土石上神宮特別保存地区」に指定されてい

て、この約半分が古来より今に至るまで周辺の環境に適合した林相を示すものとして、奈良県指定天然記念物「石上神宮社叢」になってい

ます。

この神宮の森の中にはいくつかの池も含まれていて、いま池の水面に張り出した枝に白色の泡状のかたまりが取り付いています。

これはモリアオガエルが子孫繁栄のために産卵した卵塊(らんかい)で、後ろ肢(あし)でかき混ぜるので、白い泡状になっています。

この中には300~500個の卵があり、やがて黄褐色となって、ふ化したオタマジャクシは下の池にポチャンと落ちていきます。

毎年周辺の木にかなりの数の卵塊を産みつけることより、これからが産卵の時期となり、「カカ(母)来い」「カカコイ」とオスがメスを呼

ぶラブコールが聞こえてきます。

これに続いて私には、「面倒クサイ」「面倒クサイ」と鳴くメスの声が聞こえてくるのですが、幻聴でしょうか。

2018.05.02
みどりの風
テーマ:境内

 

国宝の拝殿の床がこの時期、緑色に染まります。

新樹が朝の輝く光を受け、風がそれを運んでくるのか、普段はうす暗いのであまり色を意識することはない中、見事に床が緑を発色して、

まさに新樹光と言ったところです。

毎早朝、熱心に神職が拭きそうじをしていることもあり、ピカピカの鏡面の如く、ミラー効果で、風もすべって行きます。

今また万緑の衣裳をまとった風が朝影の中を吹き抜けて行きました。