石上神宮フォトログ 山の辺の杜から
2018.07.13
夏衣(なつごろも)
テーマ:境内

一般に和服の衣替は、10月から翌年の5月までは裏地のついた袷(あわせ)、6月・9月は裏地のない単衣(ひとえ)、最も暑い7・8月は

薄(うす)ものとなっています。

平安時代には4月1日と10月1日は更衣(ころもがえ)をすることになっていました。あわせて室内の調度も改めていました。

神職も暑い時期になると、薄物の装束となり、狩衣は裏地なしで、袴(はかま)は絽(ろ)と言って、少し透(す)けているものとなります。

足袋(たび)も内側にネルのついたものから、晒(さらし)のものになります。

特に絽の萌黄(もえぎ・薄青色)の袴は殿内の階段を昇降する時など光が透けて、いかにも涼しげな感じがします。

昔は自然の巡りに合わせて、なるべく快適に過ごせるように衣裳を替えて調節していましたが、現代はエアコンなどで身の廻りの自然をか

えて生活するようになりました。

自然と随分かけ離れた生活、この先地球はもつのでしょうか。

 

2018.07.11
蜘蛛の囲(くものい)
テーマ:境内

 

蜘蛛の糸、巣をこのように表現、特に俳句では夏の季語となっています。

ちょうど梅雨が明けて、境内に棲む昆虫たちも動きが活発になり、昼間はまだ聞こえてきませんが、朝夕はヒグラシが鳴き出して、本格的

な夏の到来となっています。

毎朝に社殿の各所のふきそうじをすることになっていて、この時期毎回同じ所で蜘蛛の囲にかかって、不快な思いに陥ります。囲は特に新

鮮なため糸が粘り気強く、きれいに取るのがかなり面倒です。

毎朝かかってしまい、いい加減に学習すれば良いものを、どうも年のせいか、朝は特にボンヤリしているのか、悩むこと頻りです。

それでも露などが糸に絡んで、差し込む朝光を受けて、美事に輝いているのを見ると自然が造り出す息を呑む美に憎さを忘れて感動しま

す。人はみなげんきんなものです。

2018.07.08
朝風に風蘭匂う
テーマ:境内

 

3日間降り続いて、やっと雨音なしの朝を迎えました。

西日本を中心とした記録的豪雨、平年7月の倍を超す雨量で、被害甚大、心が痛むばかりです。

雨上がりの境内にすごく気持ちのよい香りが漂ってきました。その香りの主は樹上に咲く風蘭(ふうらん)の放つ匂いで白い花がかすかに見

えています。

富貴蘭(ふうきらん)とも呼ばれ、江戸時代には観賞用に栽培が大流行して、大名、富豪が好んで育て、参勤交代の時には麗しい香りがある

ことより、防臭をかねて、駕籠(かご)の中につるしたと言います。

書物にはいずれも微香と記されていますが、体験者にはとても微かとは思われない芳わしい香りの広がりがあり、今日の沈んだ心を少々軽

くしてくれます。

1日も早い復興と平常の生活を祈っています。

2018.07.05
苔生す松が枝(こけむすまつがえ)
テーマ:境内

 

『万葉集』の巻2-113番歌に、額田王が弓削皇子から苔生した松の枝を贈られたことに付して詠んだ歌があります。

「み吉野の 玉松が枝は 愛(は)しきかも 君がみ言(こと)を 持ちて通はく」とあって、吉野の苔生す松は誠に愛しいものです。

あなたのお言葉を持って運んでくるというのは、との意で、どのくらいの大きさの枝だったのか、その形状が気になりますが、きっと立派

な苔が生えていたのでしょう。

日本にはコケ植物は2000種ほどあると言われていて、この歌の松苔はサルオガセだとされています。

この時代松は長寿の神秘的な力が宿り、松の枝に手向けの品がかけられて、願いを込めて祈っていました。

春の到来を祈ってモミの木を飾った西洋のクリスマスツリーと国は違って遠く離れていても、主旨は案外同じなのかも知れません。

苔の生える松枝、探しに行こうと。

2018.07.01
平和に仲良く
テーマ:境内

 

一カ月程前に念願の大きな良設備の鶏舎が出来上がり、それまで社務所近辺で寝泊まりをしていたニワトリ君は都合三軒となった寝床周

辺で快適に生活しています。(?)

最近はニワトリ好きの人たちが早朝参拝の途中、参道で餌を与えるので、鶏たちは早起きして楽しみに待ち構えています。

しばらくするとこぼれた餌が見えているのか、感知能力があるのか、樹上からスズメたちがヒラヒラと矢継ぎ早に舞い降りてきます。

参道の砂利に混ざった餌を争うことなく、仲良くついばんで、はたまた小さいスズメを守るように廻りに立ち並んでいる光景を目にする

と、人間が希求してやまない平和共存の世界の実現が見えてきて、心があつくなってきます。(少々大袈裟でしょうか。)