石上神宮フォトログ 山の辺の杜から
2019.02.27
開門は午前5時まえ
テーマ:境内

この期間の毎朝5時はまだ真っ暗ですが楼門はすでに開いています。

厳寒の頃に比べると、朝の神様へのお供物をする日供祭(にっくさい)もひどく肌寒い思いをしなくなり、おまけに夜明けもだんだん早くな

って、少々動きやすくなってきています。

それでも清少納言の『枕草子』に言う「春は曙。やうやう白くなりゆく山ぎは、少しあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる」の趣き

には程遠く、午前6時半頃にならないと明るくなってきません。

この頃を古来「彼は誰時(かはだれどき)」と表現されていて、明け方にあれはだれと見分けがつかない時で、夕方はもっぱら「誰そ彼時(た

そかれどき)」と言っていたようです。

『万葉集』に「あかときのかはたれ時に島陰をこぎにし船のたづき知らすも(20-4384)」と出ています。

こんな時にハッキリしない人影が見えたりすると、眠気はすっとんで、あまり気持ちの良いものではありません。

どうも春の早朝はボンヤリした感が強く、夏のキッパリした朝とはずい分違っています。

(ただ単に眠いだけなのかも知れません。)⑪

2019.02.25
光る風
テーマ:境内

 

今日は晴れて、中庭の木々の新芽はその光を集めて、少し膨らんだように見えます。

楽しみにする春は、しみじみ二重人格の持主のように思えてきます。

一昨日は強風が吹いて、寒さに震い上がってしまいましたが、翌日には無風ですっかり晴れ渡り、地上のすべてに明るくやらわかな日差し

が降りそそぎ、心の荒んだ私みたいな者にも平等に差し込み、大変有難く心がゆったりとなってきます。

古くからよく言われている三寒四温とか、春に三日の晴れなし、冴え返ると言った言葉が実感できます。

気温も晴れると20度近くとなり、冷えると5・6度となり、一年の中で最も気象変化の激しい時で、この変わり目は体調を崩したり、持

病が悪化する人が増えるそうで、天気予報に注意を払いたいものです。

「春の色至り至らぬ里はあらじ 咲ける咲かざる花の見ゆらむ」(『古今集』巻二)⑫

2019.02.24
覗き込む
テーマ:境内

 

ニワトリ君たちの餌の穀類を目当てにスズメの来訪が繁くなってきました。

今頃から夏にかけて、スズメが営巣する時期に入るので、余計に活動が活発になっているみたいです。

スズメは「舌切り雀」ではないが、人間が改良した穀物のおいしい味を覚えたせいか、我々の生活圏の範囲内で暮らしているようで、すで

に人がいなくなった廃家、廃村ではやがていなくなると言う。

人とともに生活しているスズメなのに、『万葉集』にはとりの名称では題詞も含めて100ヶ所以上出てくるが、「すずめ」の名では登場

しない(少し不思議)。

『十訓抄』(1252年成立)に奥州に流された藤原実方(さねかた)は都に戻ることを願いながら、かの地でなくなってしまい、その霊がス

ズメとなり、懐かしい皇居の台所に飛びもどって飯をついばんだことが記されています。

そんなことを知ってかどうか、ニワトリ君たちは見て見ぬふりをしています。⑬

2019.02.21
神の中なる落椿
テーマ:境内

春まだ浅い今日の朝、神庫の建つ禁足地の青々しい苔の上に紅色の五弁のやぶ椿の花がひとつこぼれ落ちていました。

人知れず高い枝に咲いていたのですね。

椿は暖帯の海岸や山林に広く生えていますが、青森県東津軽郡には北限の椿山があって、東北地方でも見られます。

もともとは暖地の植物ですが、日本海の多雪地帯に自生しているのは柳田国男によれば、なにか人の力が加わらない限り雪国には広がらな

いとされ、若狭の国の八百比丘尼(やおびくに)が椿をもって、日本各地を巡った結果だと説いています。

古くより椿は神意のあるものと信じられていて、八百比丘尼はそのせいか八百歳の長寿を保ったと言います。

『万葉集』にも九首も詠まれていて、『源氏物語』には椿の葉二枚で餡餅(あんもち)を挟んだものが椿餅(つばいもちい・つばきもち)とし

て登場していて、日本最古の餅菓子とされています。

椿葉は神意あり、邪気を払うとされていますので、ゲンをかついで一度挟んでみたら如何ですか。⑭

2019.02.18
今年のスーパームーン
テーマ:境内

 

この20日は満月となり、しかも今年一番大きな月となります。いつの頃から言われ出したのか、いわゆるスーパームーンと言うやつで

す。スーパーで売っているものではありません。(念のため)

月は我々の棲む地球の周りを回っていて、その周回は規則正しい円ではなくて、少々楕円を描いているので、地球から見ると近い時と遠い

時があります。

近い時の満月は遠い時に比べると大きさでは約14%大きく、明るさでは30%ほど明るく見えるそうです。

満月はほぼ月に1回ありますが、隠れん坊でもできそうな妙に明るい月の光りにびっくりすることがあります。それはきっとスーパームー

ンです。

スーパームーンの定義は天文学の世界ではないらしく、世間一般で楽しんでいる言葉みたいです。

月夜とは 忘るるほどの 月夜かな 抱一⑮