石上神宮フォトログ 山の辺の杜から
2017.05.21
定家葛の花咲く
テーマ:境内

今境内で定家葛(ていかかずら)の花が咲いています。

花は白くて5片となり、プロペラのように微妙に曲っていて、香水が発するようななかなか芳しい香りがあります。

つる性なのでほとんど手の届かない高所にあり、普通には香りは確認できません。

古名は真拆の葛(まさきのかずら)で、古今和歌集の神遊歌に詠われていて、この蔓(つる)を用いて鬘(かずら・古語 かづら)として、神事

に用いていました。

以前にも紹介したように鬘は頭に飾り、「古事記」「日本書紀」にも出ていて、葛や五味(さねかずら)などの蔓草(つるくさ)を用いていま

した。

一年を通じて美しい緑色を保っており、枯れることがないので、生命力の強いものと信じられ、この力をいただく思いでつけていました。

平安時代の神事に、男性は冠に、女性は髪につけ、只今神聖な神事に奉仕中であることを表していました。

今もお祭りには関係がありませんが、年中かぶっている人も…。

2017.05.18
ひよこちゃんこんにちは
テーマ:境内

 

今孵(かえ)ったばかりのひよこちゃん11羽が親鳥に見守られながら、餌を啄(ついば)んでいます。

自ら産んだ卵を温めていた親鳥に、抱卵を放棄した他の鶏の卵も巣に入れて、果してどうなることか正しく神頼み。

都合11個の卵を不平も言わず、ひとときもサボることなく一所懸命に抱いて温めること3週間。

親の深い熱い愛情が実って可愛いヒナが1羽も欠けることなく生まれました。

日中はピヨピヨ鳴きながら、親の啄ばむものは食べられるものと認識しているのでしょう、けんめいにつついて食べています。

気温の下がる夜になると、11羽のひなちゃんはぬくぬくの親の羽根の中にもぐり込んで朝を迎えます。

11羽が中に入るのですから、大きく翼を広げているのでしょうね。しかも毎晩ですよ。

本当に賢い親で、頭が下がります。

親と11羽の子にエールを送るばかりです。

2017.05.15
そんじょそこらのカエルではない
テーマ:境内

 

さてお立ち会い、ここに取り出した白いカタマリは、そんじょそこらのカタマリではない。これは全身ミドリのモリアオガエルの産みつけ

た卵で、泡状卵塊と言う。

さてお立ち会い、今境内の池の上方に張り出した枝に5、6ヶ所見える。

これは日本全国で見えると言うわけではない、本州・四国・九州の一部と佐渡島にのみ見えると言う、やがて水中にオタマジャクシとなっ

て落下すると言う。(以上カエルの口上)

大変珍しく地域によっては、生息地が天然記念物に指定されており、奈良県では絶滅寸前種になっています。

年々生息数が減少しているということなので、まあ手はどんなに長くても届きませんが、遠くから見るだけでお願い致します。

2017.05.12
えがたい日蔭の蔓(ひかげのかずら)
テーマ:境内

 

 

境内の各所、明るい半日蔭にほぼ年中、美しい緑の色を見せて地面をはっているのが「ひかげのかずら」です。

もう少しすると細い枝を上に伸ばして穂をつけ、胞子を出します。

この胞子は硬く光沢があり、湿気に強いので、丸薬の衣や花火の閃光材、散布剤などに用いられ石松子(せきしょうし)と呼ばれています。

『万葉集』には「やまかづら」「やまかづらかけ」の名で五首ほど詠まれ、いずれも日蔭に呼応してのことか、容易に得難い女性を暗示し

て登場しています。

日蔭の蔓は常緑で枯れても長く緑色を保っていることより、古来生命力の強いものと信じられ、神祀りに用い大嘗祭、新嘗祭などの神事に

は冠の左右に掛けて垂らしています。

現在でも神職や巫女が頭部や身体につけて奉仕しているお祭りがあります。

一度、注意して見てください。

2017.05.09
森渡る巨人
テーマ:境内

 

 

根元から楠の大木を見上げると、木の俣(また)が緑模様の絨毯の上を歩いているように見え、森の巨人が山中を闊歩しています。

『古事記』の中に大国主神と八上比売(やがみひめ)の間に生まれた神様に木俣神(きのまたのかみ)がいらっしゃいます。

母の八上比売が事情があって、実家に帰るとき、生まれたばかりの子を木の俣においていったことから名づけられました。

また別に大国主が八十神に命を狙われた時、木の俣をくぐり抜けて逃げ、助かったことも記されています。

古来Y字形になった木の二俣(ふたまた)は聖なる所、神様の依りつく場所と信じられ、生命の源、新しい霊魂がいただける所と認識して

いたのです。

やはり俣は今でも大切なところなのです。