石上神宮フォトログ 山の辺の杜から
2017.06.23
バケツの中には何が
テーマ:境内

 

何やら熱心に、はたまた興味津津(しんしん)群がってバケツの中を覗き込んでいます。

余程気になるものが入っているに違いありません。

勇気ある雀の中には飛び込むものもいて、すぐに何かの気配を感じると一斉に飛び去り、また暫くするとハラハラと二羽三羽と舞い降りて

来ます。

中を見ると底の方にニワトリちゃんの飼料、と言っても近隣の方々から届いた小米(こごめ)の古米です。

この時期になると穀象虫(こくぞうむし)も混ざっていて、炭水化物に蛋白質も含まれて、かえって健康に良いのかもとプラス思考をしてい

ます。

神宮のニワトリは自然と人間の中で、日々生きているので近くに人がいても平気なのは理解できますが、くだんの雀くん余程えさ不足で窮

乏しているのか、ニワトリ同様に人間慣れしているのか、目の前のバケツの縁に飛び乗って恐恐(こわごわ)餌待ちしています。

雀の目的は一つなのにそれぞれの形がバラバラなのがおもしろく、あくまでも自然界に生きるものであることを改めて認識します。

2017.06.19
光る蜘蛛の囲
テーマ:境内

 

蜘蛛の囲(い)は少々上品な表現で、俳句では好んで用いられ、普通にはクモの巣のこと。

クモは日本にも太古より生息、千種以上いるとか。

ほとんどの種類は、大きく網を張ってじっと虫のかかるのを待つと言う、古代からずっと続く狩猟方法で、食性は恐ろしくて肉食、小動物

を捕食する。

クモの個体が大きければ人間もかかって…、考えると恐ろしい姿とともに良い印象はありません。

『万葉集』にも「蜘蛛の巣」がでてくる歌があります。

かまどのこしきにはくもの巣がかかり、飯(いい・ごはん)を炊くことも忘れるほどの生活に苦しむことをうたう歌があります。(5-

892)

貧窮の苦しさを問答の形で表現(貧窮問答歌)の長歌にでてきます。

当時貧しさを表現するのにクモの巣は絶品だったのでしょうね。

古い歴史の神社にはこの時期、あちらこちらにクモの巣が多く、毎々かかってしまって、心をクモらす毎日です。

 

2017.06.16
子子孫孫
テーマ:境内

 

当神宮の境内は大凡(おおよそ)23.5万㎡の大きさがあり、神坐(かみい)ますところとして、万葉の時代には「石上ふるの神杉・・・」

(11・2417)と杉が多く、環境の変化に合わせて、次第に林相も変化し、今は多種多様の草木が繁茂しています。

広大な境内の約半分が「石上神宮社叢」として、県の指定天然記念物になっています。

その中で杉・桧(ひのき)・銀杏(いちょう)・石櫧(いちいがし)などは、30mを越す大木となり、その下には中層の更に下には低木が広

い空間を仲良く共有しながら、生育しています。

昨年の暮に落ちて、茶碗蒸を免れたぎんなんはさすがに生命力強く、こちらが何も手も加えなくても、見事に芽を出し、柔かい木洩れ日

を受けながら、すくすくと育っています。

草木には何の表情もありませんが、その内部では必死に子孫を残そうと頑張っている姿が見えてきて、愛らしく心が動きます。

2017.06.13
真榊(まさかき)の咲く
テーマ:境内

 

今境内の到る処の榊が花咲いて、芳香が、はたまた少々の蜜があるのか、蜂を寄せつけて、羽音が響いてきます。

特に祓所(はらえど)に咲く白い花は暫くすると蝋細工のような飴色になり、お祓いの時にまく切麻(きりぬさ)の如く一面に降り注いで、

ひとしお清浄な空間を指し示します。

『万葉集』の中に榊の歌は一首あって、「賢木」と表記されています。

『古事記』には天の石屋戸の条に「五百津真賢木(いほつまさかき)」、『日本書紀』には「五百箇真坂樹(いほつまさかき)」とあり、その

他にも別の表記があったりして、神事に広く用いられていたことがわかります。「いほつ」とは「たくさんの」と言った意味です。

当時は今の榊ただ一種を指していたのではなくて、常緑の木数種があてられていました。

神社には特にゆかり深く、神籬(ひもろぎ)・真榊・大麻(おおぬさ)・玉串など、また神門・鳥居・御垣等の左右にも用いられます。

因みに榊は日本で作られた文字で、峠・辻・畠・畑・凩・噺・働・萩・椿などと同じく国字で、平安初期にはすでに400例ほどあったそ

うです。

2017.06.10
甍を映してそよそよと
テーマ:境内

 

春の田を鋤き返すと、やがて水が引き入れられ、トラクターで田掻きをして、数日待つと掻き混った泥が底に沈む。

この田を代田(しろた)と言う。

夜が明けて小濁り(ささにごり)の静かな代田に朝日を受けた甍(いらか)が輝いて映る。

何とも言えない日本の原風景は二千年の歴史を語ってどっしりとした風格を備えています。

いろいろなものを映し遊ばす植田は夜半には真ん丸のお月様を真昼にはお天道様をもてなし、その上を風がそよそよと渡って行く姿は、日

本人であることを自覚させ、見飽きないものがあります。

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