石上神宮フォトログ 山の辺の杜から
2018.09.09
露は朝に置く
テーマ:境内

 

今朝の夜明けは秋気加わり、境内のすぎ苔は露を結んでいました。

そう言えば8日は露が凝って、白く見えると言う白露で、記録的高温の夏もようやく落ちつきを取りもどし、平年の新秋に近づいてきまし

た。

この朝夕の気持ちのよい涼しさを知ってしまうと、またぶり返す日中の暑さは、余計に身にこたえて疲労感、倦怠感が増すばかり。

なんでも気持の良いおもいをしてしまうと、後が大変です。

ここ2、3日の雨模様で疲労困憊(こんぱい)のすぎ苔も鮮やかな緑色をまし増して、喜んでいるように見えます。

2018.09.06
莢状(さやじょう)の実
テーマ:境内

 

何が写っているかおわかりですか。

細長いさや状のものは以前にお知らせした定家葛(ていかかずら)の実で、あの白色のプロペラのような花から、こんな袋果になるのは少々

驚きです。

藤原定家の霊が式子内親王のお墓につると化して絡んだという伝説に由来、古くは天鈿女命(あめのうずめのみこと)が天岩戸の前で鬘(かず

ら)にしたものは真拆(まさき)の葛(かずら)で定家葛のことです。

想像を超える植物の変化を見て、その多様化に無知を思いしるのみ。

更に驚くべきことに10~11月にはこの実が熟して裂開し、黒い小さな種が白い長い毛をもって、吹く秋風にまかせて飛んで行くので

す。更に冬に向かって葉が赤や橙や黄色になん枚か変色して緑の葉の中で、モザイクの美しさがあります。

その名の通り、優雅な語りの長い植物です。

2018.09.02
山菅(やますげ)押し伏せて
テーマ:境内

 

今、神宮の森の木陰では藪蘭(やぶらん)が紫色の小さな花を多数穗状にして咲き出しています。日蔭なので紫の色がより一層美しく目につ

きます。

この花はやがて11月頃には紫黒色の実となります。

山菅(やますげ)はやぶらんの古名で、万葉集に12首もあります。

古語辞典を見ると「山菅の」は①山菅の実からみ(実)にかかる。②山菅の葉が乱れて伸びるから「乱(みだ)る」にかかる。③山菅の葉が勝

手な方向に伸びるので「背向(そがひ)[背後]」にかかる。④「やますげ」の「やま」と同音を含むので「止(や)まず」にかかる。とややこしい枕詞となっています。

『集』の巻11-2477番歌、作者不詳にて「あしひきの名に負ふ山菅押し伏せて 君し結ばば逢はざらめやも」とあって、歌意は少々

過激で、山菅を押し伏せるように、あなたがわたしを押し倒して、契りを結ぼうとなさるようなら、決してわたしは逢わないことはない

わ、と相手の積極的行動を期待していたりする、山菅は美しい花のわりになかなか厄介なのです。

2018.08.29
稲の花咲く
テーマ:境内

 

来る9月1日は二百十日となり、台風襲来の時期で、農業を営む方々にとっては特に注意が必要となる時節です。

この二百十日を前にすでに数個の台風が来襲上陸、雨量は記録的、猛暑日も異常なほど多くしかも超高温で、異常続きの今夏です。

では異常とは「通常とはちがっていること」とあり、それではと通常を調べると「普通であること」と説明があります。

つまり異常な状態が常に起こると異常とは言えなく通常で、昨今の異常気象はもうすでに異常ではなくて通常と考えた方が正しく、これか

らの対処に有用ではないかと思料します。

そんなことを考えながら神宮周辺の青々とした田圃(たんぼ)を見渡すと、稲穂の青い籾の中から白っぽい雄しべと雌しべちゃんが伸びてい

て、花が咲き出してきているのがわかります。

稲の受粉は2、3分と短かく、炎暑の昼にのみ可能とのこと。

どうぞ暫くは穏やかな日和が続くことを願うばかりです。

2018.08.26
円座(えんざ)
テーマ:境内

 

円(まる)い形をしている座るものなので、円座とよんでいます。

古くは藁(わら)を用い、蓋(ふた)のようなので「わらぶた」とも言っていました。

ごくまれに一般の家で、夏の敷物に使っていることもありますが、最近は籐椅子(とういす)も見かけないし、普通の家から夏の風情が消え

ていっています。

神社では年中これを用いており、全面が板張りなのでこれが座る場所の指定になっています。

平安時代初期の儀式などを記した『延喜式』にすでに載っていて、それぞれ使用上の規定がありました。

藺(いぐさ)の円座は径3尺、菅(すげ)は径3尺で厚さ1寸、蒋(まこも)の円座は径2尺5寸で厚さ5分となっていて、重要な儀式の時は特

別仕様の縁(へり)を布で包んだものとなっていました。

紫錦の縁は大納言用、青錦は中納言、参議は高麗の縁などと規定されています。

普通には藺草(いぐさ)で渦巻状に作り、七巻半(ななまきはん)となって、最後の綴目は後ろにすることになっています。

表・裏があって一般の人が置くとほとんど裏むきにしてしまう不思議があります。

皆さん座りなれていないので、正座をするとすぐにシビれてくるので、注意の程を。

(適当にゴソゴソして下さい。)