石上神宮フォトログ 山の辺の杜から
2017.09.06
蟷螂の斧(とうろうのおの)
テーマ:境内

 

蟷螂とはカマキリのことで、斧はカマキリの前脚を指しています。慣用句となっていて、小さなカマキリが前脚をふり上げて、大きなも

のに立ち向かう、自分のか弱い力で強敵に向う、はかない抵抗を言うものです。

古く「荘子」などの話に見え、『平家物語』に引用されているとのこと。

この時期になると何処から飛んでくるのか、大胆にも国宝の拝殿の廊下の欄干上で、斧を振り上げて威嚇している姿をよく見ます。

前脚が鎌状になっていて、これで昆虫を捕食、反射的に目の前の動いているものを食べる習性があって、カエルやトカゲまで食べること

も。

勇気を出して手で捕まえようとすると、透かさず鎌が飛んできて、差すような痛みが走ります。

もちろん完全な肉食で、貧すれば雌は雄を食べるとのこと。

大型のカマキリは特に鎌を掛けるので注意が必要です。(?)

2017.09.03
そなたの名は
テーマ:境内

 

わらはの名は「屁屎葛(へくそかずら)」と申します。

『万葉集』には「屎葛(くそかずら)(16-3855)」と詠まれ、今あちこちの野原で絡み付いて、かわいい花を咲かせています。

外側が白く、中は紅紫色で大変上品に見えるのに、名前があまりにもかわいそうで、気の毒な気がします。

他の名前として早乙女花や花の赤い色がお灸の後に似ているので、「やいとばな」とも言われています。

見ている分には美しいのですが、花も葉もつるの茎さえも切ったり折ったりすると、鼻が曲がるほどの悪気、

不快臭があって古来よりこんな情け無い名がつけられていることに合点がいきます。

まあ美しい花だけを見ることに楽しんでいただいて、決して手を触れないことが肝要と存じます。

何でもふれるといけません。

2017.08.30
稲の花こぼれる
テーマ:境内

 

来る9月1日は雑節の一つ、二百十日で立春から210日目の日で、ちょうど稲の開花期に当たります。

この頃はよく台風の来襲する時期で、二百二十日とともに注意を要することより、渋川春海が暦に初めてとり入れたと言われています。

当地では数日前より青々と成長した稲の穂から白い花が顔をのぞかせ開花が始まっています。

昼頃に30度を越え、空気が乾燥してくると咲き始めるらしく、中から出てくるのが雄しべで、中に雌しべがあり、効率良く自家受粉して

結実します。

それでも驚くことにその花粉の寿命は2、3分しかないそうです。

日本で本格的な水稲耕作が始まった弥生時代は田の大きさの一辺が3~4メートルで形も地形にあわせてまちまちで、今で言う千枚田のよ

うでした。

これが今のように広い大きな田に比べると手間がかからず、短い期間ででき、しかも水の管理が容易で、たいへん効率的であったと言われ

ています。

技術の進む社会の中で、ヒト中心とキカイ中心の二つのやり方について一考してしまいます。

2017.08.27
あらゆるうつしき青人草
テーマ:境内

 

「古事記」「日本書紀」「万葉集」など最古の書物に青人草(あおひとぐさ・蒼生・萬生)とよく出てきます。

人の多く生まれるのを草の成長力と繁り増えるのにたとえて、人々・国民のことを言い、民草という表現もあります。

表題の意味は、この日本に生きているすべての人たちと言うことになります。

この時期は神宮周辺につながる小径は草が猛然と伸び、草刈との競争となります。

古代の神話的世界では、自然のあらゆるものに精励が宿り、草木もみなよく言語(ものいうこと)ありと「日本書紀」にも記され、すべての

ものに生命と超自然的な存在を認識していて、草木もやかましい程にざわめいていたことが語られています。

また刈り取ったままの草は「荒草(あらくさ)」と表現され、人の手の触れない遠い野原の荒草は、清浄な敷物として設けととのえられるこ

とになっていました。

古代、身の廻りの草に種々の霊力を認め、草や木を結んでその力を得ようともしたものです。

熱苦しい夜は草を結んで枕にでもして、良い夢でも見たいものです。

2017.08.24
光放てり蜘蛛の糸
テーマ:境内

 

この時期、境内に出ると此処彼処(ここかしこ)蜘蛛の囲があり、毎々同じ所でかかるので心優しい小子でも少々腹立たしい思いになりま

す。

蜘蛛はなんと世界に3万5千種ほどいて、日本には1400種以上いると言われています。

最近はいろいろの外来種が日本に流入、四季豊かに育つ無菌状態の上品な日本の動植物界は、跳梁跋扈する外国産にその様相が急変してき

ています。

さすがに腹立たしい蜘蛛の囲も夕立ちを受け、その後に射し込む夕陽を受けると、驚くほどの美しい光を発します。

キラキラと輝くスペクトルは見ていて飽きないものがあります。

くもあれば楽もあり。