石上神宮フォトログ 山の辺の杜から
2018.12.08
散り敷く
テーマ:境内

 

ゴールデンイエローの優雅なコスチュームを纏(まと)っていた大銀杏が一夜の寒気と強風により、枝に数えられる程の葉を残して、すべて

散ってしまいました。

まるで春の桜の花吹雪を意識しているのか、猛烈な雨を降らすごとく今は潔(いさぎよ)く散り敷いています。

葉や木を守る神様は葉守の神(はもりのかみ)と言われ、『枕草子』では柏の木に宿っていらっしゃることが記されています。

葉守の神様はいま少々重い衣裳をお取りになって、スリムになっておられます。

2018.12.05
檜(ひのき)は火の木?
テーマ:境内

来る8日午後2時からの「お火焚祭(おひたきさい)」を前に、社務所前には除伐された若木の檜で四角に組まれた火床が完成しました。

お火焚祭はまず拝殿にて祭典があり、この時古式に則り、檜の火鑚臼(台)と火鑚杵(棒)で、火をおこして火床に運ばれ火がつけられます。

白煙を上げて燃え盛る中、神職に合わせて参加の人たちも「大祓詞」と「十種祓詞(とくさのはらえのことば)」を奏上し、一年間の皆さん

がお書きになった「願串(がんぐし)」が焚き上げられます。

檜は日本特産で『日本書紀』には宮殿をつくる材とすべしとあって、良材で樹皮は檜皮(ひわだ)として屋根に葺かれます。

火をおこす木から檜という説もありますが、上代は火の音韻は乙類で、檜(万葉がなでは比)は甲類なので、火の木説は成り立たないとする

説も。

それでも体に良い精油が多く含まれているのでたしかに燃えやすい木材です。

まあどちらにせよ、有り難い火にあたって一緒に参加してみましょう。

2018.12.02
紅葉をば取りてぞしのぶ
テーマ:境内

 

境内にはモミジをはじめ落葉樹もあって、春の新緑もなかなかのものですが、この時期秋の紅葉は特に美しく、見頃を迎えています。

大津近江宮の時代、『万葉集』によると天智天皇は内大臣藤原鎌足に「春山の万花の艶」と「秋山の千葉の彩」を競(あらそ)わせた時、額

田王は歌でもって「・・・秋山の 木の葉を見ては もみぢをば 取りてぞしのぶ・・・」と詠い、秋に軍配をあげています。

やはり秋の紅葉は春よりも色彩豊かと言うことでしょうか。

小子ご幼少の砌は、たしか11月になると山野は美しく色づいていたと記憶していますが、60年ほど経た昨今は12月に入らないと色づ

かないことになってきました。

モミジは最低気温が8度以下にならないと紅葉をはじめないとのことで、南の鹿児島県では過去50年間で紅葉日が1ヶ月以上遅くなり、

最近では年を越して、正月の上旬になっている報告があります。

正月を過ぎた紅葉狩りはゆっくり味わう余裕もなく全くの興ざめでしかありません。

2018.11.29
着飾るお姫様
テーマ:境内

 

お姫様と言っても人間のことではありません。

今見頃を迎えている美しい紅葉をつかさどっていらっしゃるのは竜田姫(たつたひめ)という女神なのです。

これは今に始まったことではなく、時は奈良時代、紅葉の名所となっていた竜田山は奈良の都から西にあたり、当時流行していた五行説で

西は秋に当たり、美しい紅葉の神様は竜田山におられる竜田姫ということになっていました。

それでは春はと言うと、五行では春は東にあたり、都の東方にある佐保山におられる佐保姫が春の桜をつかさどる神様となっていました。

醍醐天皇がつくらせた『古今和歌集』秋下に「竜田姫手向くる神のあればこそ秋の木の葉の幣(ぬさ)と散るらめ」と詠われたりしていま

す。

今当地は秋色を染め出す竜田姫様が各所に降臨なさっておられるに違いありません。

どのような美しいお顔をしておられるのか夜目遠目モミジごしに一目拝したく存じます。

2018.11.25
輝くゴールデンイエロー
テーマ:境内

 

境内の樹令300年とも言われる大銀杏の黄金色が今、ピークを迎えています。

更に午後からは西に傾いた晩秋の日の光を真正面に受けて、ますます黄金色が照り輝き、ゴールデンイエローの美しい色合いが目に眩しい

ばかりとなっています。

もう3日程すれば落葉がはじまりそう。

桜もそうですが、よくよく観察していると、最高の輝きを放つのはせいぜい3日ほどでしょうか。

もう2、3日待てば更に最高と思えるその日が、実は最高美しい瞬間なのかもしれません。

その見極めが難しいのが世の常で、いつも自然のなす謀り事に裏切られています。

西方2キロ(?)の天理駅の2階のプラットホームからこの時期限定で、このゴールデンイエローが見えるのです。

圧倒的周囲に輝きを放つこの美色を万人に見てもらえないのが誠に残念です。